世間のイメージとして、がん治療中の人は
皆、脱毛するというものがあるようです。
実際、脱毛の副作用がある抗がん剤は多くありますが
そうでないものもありますので、一概に
がん患者=ハゲる
というわけではありません。
しかし、フィクションの世界では
がん治療中の主人公が、髪を梳かしているとき
どっさり抜けた髪に気づき、ショックを受ける
というようなシーンが多いので、その影響でしょう。
また、完全に抜け落ちる抗がん剤もあれば
そうでないものもありまして、
前者の場合、みごとな三蔵法師状態になりますが
後者は、まばらに髪が残ってしまうので、まるで
落ち武者
になってしまいます。
私は、治療開始時に2種類の抗がん剤を順に投与され
最初に落ち武者になり、次に三蔵法師になりました。
いずれの場合も、帽子やバンダナで隠せば
頭髪に関しては、特に問題を感じませんでしたが
三蔵法師状態のときは、全身の毛がすべて抜けましたので
体毛がいかにだいじであるかを痛感しました。
だいじだ!と、思った体毛は髪や眉毛じゃありません。
そんなもの、なくても生活になんの支障もありませんが
なくなると、大問題となるのが
鼻毛とまつ毛
です。
鼻水と涙がとまらなくなり、ティッシュなんぞじゃおいつかず
タオルを片時も手放せませんでした。
まつ毛がないと、こんなにも目にゴミがはいるんだ!
ということを実感しましたし、鼻毛に関しては
おりしも冬で乾燥していたため、粘膜が傷んでしまい
鼻血がしょっちゅう出るようになりました。
当時、今すぐ鼻毛とまつ毛が生えてくれるなら
一生髪が生えなくてもいい!
とまで思うほど、たいへんでした。
抗がん剤の副作用は多岐にわたっていて
ほかにも爪がはがれたり、味覚障害が出たり、貧血になったり
いろんなことがありましたけど、
私にとって、一番つらかったのは
まつ毛と鼻毛を失ったことでした。
お殿様(夫)の脱毛が、きのうから本格化しているようです。
お殿様が使っている薬は、三蔵法師になるタイプじゃありません。
せいぜい落ち武者になる程度なんですが、もともと薄いので
髪を伸ばしたら、まんま落ち武者になれるレベル。
きっと、変化に気づかないことでしょう。
何よりも、まつ毛と鼻毛は残りますから
脱毛の真の苦しみは、経験せずにすむでしょう。
この、まつ毛と鼻毛がなくなる件は
巷では、まったく語られません。
映像化するには、見苦しいってことでしょうかね。