犬には「既得権」というものがあります。
犬と暮らしたことがある人には、すぐわかると思いますが
一度経験したことは、すなわち自己の権利と認識するというものです。

たとえば、日に2回の食事をしていた犬が
ある日、おやつをもらったとします。
すると、翌日から同じ時刻になると
きのうと同じようにおやつをもらえると、思っていて
もらえないと、非常に落胆したり憤慨したりします。

人間も、同じような習性がありますが
さすがに、犬のように1度だけで「これは獲得済みの権利」
とまで思い込むことはありません。
でも、男性に関していえば、
犬並みの既得権を要求してくる生き物だと感じています。

我が家の男性=お殿様(夫)ですが
胃ろう生活が始まってから、その管理はすべて本人にまかせています。
(その記事はこちらです。→お殿様(夫)寝たきりになる
後始末にあたるのが、チューブの洗浄や使用済みの袋の始末ですが
これは、洗い物とごみ管理なので、「え?これも俺?」
と、思ったであろうことは、想像に難くありません。

しかし、手を出さず放置していますので、全部自分でやっていたんですが
2週間ほど前、かなり体調が悪そうな日の夕方
たまたまリビングに行ったら、お殿様の胃ろうがちょうど終了したところでした。

コーヒーを飲んでいたコップを片付けに来たところだったので
ついでに、チューブを一緒に洗って、ごみも片付けてあげました。

この後の展開は、もうおわかりですよね。
その日を境に、夜の胃ろうが終わると
チューブや袋を放置したまま、ソファーでテレビを見るようになりました。

私が片付けるから、もういいや。
ということなんでしょう。
あきれましたが、体調がとても悪いときだったので
黙って片付けをすることにしました。

どうせ、チューブを洗ったシンクの後始末がありますし
手間としては、たいしたことじゃありません。

でも、毎日思っていたのは
私にやらせようと決めたなら、せめて
胃ろうが終了したとき「終わったよ」とか
もっと言えば「お願いします」とか
声をかけられないものか?ということです。

その時間、私は自室にいますので
胃ろうが始まったなーと、思ったら
時間を見計らって様子を見に行くようにしていました。

なんと、手のかかる人だろうか。
と、思いもしますが、昭和世代の夫というのは
おおむね、このような生き物だろうとも思っていましたし
朝と昼の後始末は、自分でやっていますので
おもしろいというか、おかしな生き物だとも思っていました。

そんなお殿様が、きのうは夜の胃ろうが終わったあと
自分で後片付けをすませました。

感心ではないか!と、思ったかというと
そんなことはありません。
きのう記事にした、調剤薬局を巡る問題
結局、私が処方箋を出し、2往復して栄養剤を運んだ
という決着を見ましたので、さすがにバツが悪かったんでしょう、

2往復目を終えて帰宅したとき、珍しく

ありがとう

と、言ってきましたよ。

これが珍しいっていうのが、問題なんですけど
「ありがとう」と「ごめんなさい」はお殿様の辞書にはないようなので
はなから期待などしていません。

「ありがとう」が出たときから
たぶん、夕方の胃ろうの後始末は自分でやるだろう
と、予測していたら、その通りになっただけです。

こんな予測が当たって、何も感じるはずがありません。
興味があるのは、今夜です。
今夜の胃ろうの後始末は、さて、誰がするんでしょうね。

忘れん坊将軍

昭和39年生まれの59歳の専業主婦、4歳年上の夫と2人暮らしです。夫はステージ3の食道&下咽頭がん、私はステージ4の乳がんを罹患しています。夫婦でがん患者となりましたが、前向きに暮らしています。主に、夫のがん治療についての記録になりますが、日々起こるあれこれも綴っていきます。