綛(かすり)

  • 意味:ところどころかすったような模様をおいた織物
  • 豆知識:「かすり」と読む国字には、「纃」もあります。

「かすり模様」といえば「絣模様」と書くほうが一般的でしょう。
井桁絣がこちらです。

昔読んだ小説の主人公が「井」のつく名前の男性を好きになり
井桁模様の着物をあつらえるシーンがありました。
その主人公は、大正生まれの女性でしたが、好きになった男性の名前やら異名やらを
着物の柄にとりいれるのが好きな人として描かれていました。
高校生のころ、初めて読んだ小説ですが
後に読み返したとき、以前はなかった「恋愛体質」という言葉が出現していて
なるほど、こういうことかと思ったことを覚えています。

小説の主人公

その主人公ですが、そういうクセのある人なので
恋が終わると、どの着物も「もう着られない!」
と、なり処分せざるを得なくなっていました。
洋服とちがい、着物は値が張りますし、
職業が芸者さんで、あつらえた着物も
豪華な衣装としての意味合いが強いものでしたから、
たいへんな浪費となってしまうわけで
恋の終わりだけでもショックなのに
踏んだり蹴ったりですよね。(笑)

着物に比べれば、洋服は安いので
買い物に「失敗したかも」と思ったところで
たいした額ではないのが救いですね。

ところで、暑い日の服装

毎日刺すような暑さです。
自転車で走り回る生活をしていると
肌をむき出しにしているよりも
薄物を一枚羽織っていたほうが、しのぎやすくなっています。

アラブ首長国連邦の民族衣装のカンドーラのように、
暑い国の人々が、全身を覆う服を着ているのは
体温より外気温が高いので、水分を失わず、体温を維持するための工夫です

中近東の工夫が日本に適用されるとは!
どういうことでしょうね。

ということで、薄物をめぐる買い物の失敗の話をします。

失敗例

私の持っている薄物の中の1枚です。

透けるので、中にタンクトップなどを着る必要がありますが
羽織っていると、陽射しが届かなくなって快適です。

こんなのもあります。

そして、こんなのも。

1枚目はともかく、2枚目と3枚目ってなんだか、似てる・・・と、気づくと
どうして、いつまでも同じ過ちを繰り返してしまうのか
と、うんざりしてしまいます。

同じ人間が好みで服を選んで買い求めますので
どうしても、似たようなものばかりに偏ってしまうんですよねえ。

そうじゃない買い方ができる人もいるのでしょうけれど
私はもう、何十年も同じことをくり返していて
服の量としては、もう十分あるというのに
「これじゃなくて、もっと〇〇なものがあればいいのに・・・」
と、よく思っています。

ただ、服はいっぱいもっているのに、出かける前にはいつも
「着ていく服がない!」と、なるという話もよく聞きます。

それを聞くと、上手にワードローブをそろえられる人って
案外少ないのかも?と、慰められます。

小説

冒頭でふれた主人公は、何回読み返したかわからないほど
大好きな小説の登場人物です。

大正時代~昭和にかけての花柳界を舞台に
ふたりの対照的な芸者の人生が描かれている物語です。
何度も何度も読んでいるので、細かいセリフまで覚えているのに
いつ読み返しても、おもしろすぎて眠れなくなります。

有吉佐和子さん著「芝桜」上下巻

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津川家の正子と蔦代は将来の看板芸者と目されていた。しかし、二人の性格は全く対照的だった。実直で健気、芸者の通信簿でも総牡丹(全甲)をもらうほど頭のいい正子。美しく信心深いところがありながら、水揚げ前に不見転(みずてん)で客をとり、嘘を本当と言いくるめて次々に男をかえていく蔦代。――二人の芸者の織りなす人生模様、女同士の哀歓を絢爛たる花柳界を舞台に描く。

amazon商品説明より

 続編があり、そちらも同じぐらいおもしろいので
「芝桜」上下巻を読んだあと、こちらも必ず一気読みします。

「木瓜の花」

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井桁模様の話は、こちらに出てくるエピソードです。

忘れん坊将軍

昭和39年生まれの59歳、専業主婦です。 新幹線、首都高速、武道館などなど同い年のものがたくさんあります。 還暦目前のせいか、あれもこれも忘れてしまう困ったちゃんです。