劬(く)

  • 意味:つかれる・苦労する
  • 豆知識:「劬力(くりょく)」=「骨折る」という意味の熟語があります。

おりしも、関東に大雪が降っています。
雪に慣れない者にとって、雪かきは重労働ですし
雪道を歩くだけで、くたくたになります。

雪が積もるたびに、右往左往する関東の民は
全国の雪深い地域の皆様から、嘲笑されているようですが
不慣れなんで、どうしょうもないんですよね。

雪といえば

2・26の日、雪だったんだよねえ・・・
さかのぼって、桜田門外の変も雪の日だったねえ・・
などと考えてしまう私ですが、昭和39年生まれです。
リアルタイムにクーデターを見たわけではありません。(当たり前)

幕末~昭和初期の歴史的背景を持つ小説が好きなので
ついつい、そんなことを考えてしまうだけです。

今回は、そんな時代のやんごとなき方々の物語を読みました。
たまたま2冊立て続けになりましたが、どちらも図書館本です。

1冊目は宇佐美まことさん著「鳥啼き魚の目は泪」です。

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駆け出しの造園設計士・高桑は大学の卒論で作庭師・溝延兵衛と、彼の代表作となったある庭を取り上げて以来、長年にわたり取り憑かれ続けていた。
武家候爵・吉田房興が兵衛に依頼したもので、定石を覆す枯山水を作るために、大きな池が埋められていた。その池からは、白骨死体が見つかっていた――。
昭和初期。限られた時代を生きたある華族の哀しみと、異能の作庭師の熱情が静かに呼応する「美しい庭」の誰も知らない物語。

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もう1冊は、林真理子さん著「李王家の縁談」です。

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皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は
読んだことがない。傑作である。――歴史学者・磯田道史

いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしい――
梨本宮伊都子妃は、娘・方子女王の結婚相手探しに奔走していた。なかなか身分の釣り合う婿が見つからないのだ……。
方子女王が皇太子妃になる道が潰えた今、方子がみじめな思いをしないように、一刻も早く、良縁を見つけてやらなければならない。

聡明で率直、そして行動力に溢れた伊都子妃は、誰も思いつかなかった方法で、娘の方子女王を〈皇太子妃〉にする道を見つけ出すが……。そのために乗り越えなければならない課題は、伊都子妃の想像を越えるものだった。

高貴なる人々が避けては通れない縁談を軸に繰り広げられる、ご成婚宮廷絵巻が幕を開けます。

Amazon商品説明より

感想

1冊目「鳥啼き魚の目は泪」は華族の物語でフィクション、
2冊目「李王家の縁談」は皇族の物語で、史実をベースにしています。

読後の感想は、十人十色だと思われますが
知る由もない世界を垣間見させてくれる物語は
のぞき見趣味的な好奇心を満足させてくれます。

ただ、華族、皇族に対する考えは、まさに様々ですから
好き嫌いが分かれるジャンルかなあと、感じます。

私は、戦前まで存在していた「華族」を
非常に冷ややかな目で見ています。

もとは公家だった公家華族はおいておくとして
武家華族の多くは、維新の際に官軍となった
長州、薩摩などの武家です。

歴史観も、人それぞれでしょうけれど
私には、長州・薩摩ほか、尊皇派がしたことって
テロ行為としか思えません。

テロリストが、爵位だと?
と、反感を覚えてしまいますので
武家華族がぜいたくな暮らしをしているのって
なにをえらそうに・・・と、思っちゃうんですよね。

らんまん

ひとつ前の朝ドラ「らんまん」で
まさにそのような男爵が登場し
なんだかえらそうにしていましたが
スエちゃんに、バッサリ振られ、
さらに奥方からも冷ややかな目で見られていて
非常にスカっとしました!

そこまでの説明はありませんでしたが
あの奥方は、貧乏公家華族の出で
武家華族が箔付けのために妻としたんだろうなあ
などと、妄想をふくらませていました。(笑)

「鳥啼き魚の目は泪」の登場人物、華族の当主が
華族制度を否定し、長続きしないと断じていたので
著者、宇佐美まことさんは、もともと好きな作家さんでしたが、
ますます好きになってしまいました。

その点だけでなく、物語そのもの、ミステリーの要素
どれをとっても、非常に面白い小説でした。

李王家の縁談

一方、「李王家の縁談」は、朝鮮の李王家に嫁いだ皇族、
梨本宮方子さんの縁談がタイトルになっています。
方子さんは、戦後に朝鮮へ渡り
福祉に尽力したなどの逸話を残していますが
この作品は、方子さんの母親が主人公で
彼女の日記をもとに創作されたものだそうです。

なるほど、あの結婚ってそうだったのかも?
というおもしろさはあるんですけど
こういうことがありましたよ。
こんなこともありました。
という出来事の羅列で終わってしまった感は否めません。

林真理子さんは、歴史小説を書くのが好きなようですが
どの作品も、出来事の羅列で終わっているように思え
最近は、手を出さないことにしていたんですが
今回は、題材が興味深かったので、読んでみました。

十分おもしろかったんですけど
この素材なら、もっと・・・と、欲が出ちゃいました。
宮尾登美子さんとか有吉佐和子さんが書いたら
きっと・・・と、考えると、残念に思えました。

こんな、「もっと面白く書けたはずなのになあ?」
という、傲慢な感想を書くと

じゃあ、お前が書いてみろ!

とつっこまれそうですし、そもそも

ただで借りた本だろう!

と、叱られてしまいますね。(笑)
ごめんなさい。(誰に謝っているのかは不明)


忘れん坊将軍

昭和39年生まれの59歳、専業主婦です。 新幹線、首都高速、武道館などなど同い年のものがたくさんあります。 還暦目前のせいか、あれもこれも忘れてしまう困ったちゃんです。