畢生(ひっせい)

  • 意味:生を終える時までの間・終生・一生。
  • 豆知識:「畢生の大作」という表現が多く使われているようです。

畢生の大作=その人の人生で最も優れた作品のことですが
そのようなものを創出できないまま
生涯を終える人のほうが、圧倒的に多いことでしょう。

記事タイトル

「寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ」は
最近読んだ本の題名です。

地元である千葉に戻ったフリーライター(著者)が
90代前半の両親、80代後半の叔父夫婦という
4人の家族を介護する奮闘の日々が綴られています。

私にも高齢の母がいますので、絶対にひとごとではないはずなのに
そして、とってもたいへんそうな日々の様子なのに
どうしても、クスクス笑わずにいられない面白さでした。

聞き分けのない4人の高齢者の様子がおかしくて、おかしくて。
たとえば、千葉県内が台風の影響で大規模停電しているときに
父親が「早く電気屋を呼べ!相撲が見れねーだろうが!」
と、何度も言ってくるくだりは、コントみたいですが
自分がやられることを考えたら、間違いなくキレます。

そんなことが毎日繰り返されているわけですから
著者が「だから!」と声を荒らげてしまうシーンが何度も出てきます。
同じことを何度言い聞かせても
わがままを言ってきたり、おかしなマウントを取ってきたり
老いることを「子どもに戻る」と表現することがありますが
まさに、イヤイヤ期の子どもの相手をしているのも同然です。

尊敬する

それにつけても、この著者はえらい!と、思います。
実兄が近くにいるものの、
その妻にあたる義姉の親を引き取っているため
頼りすぎずに、自分が全面的に介護を担っています。

介護といっても、下の世話や入浴介助といった
一般にイメージするものは、比率として少なく
著者自身、その面をたいへんだと思うこともないほど
4人の勝手気ままとしか思えない暮らしぶりに
とことん振り回されていくのですが
投げ出すこともなく、病院の送り迎えだの
公的手続きの代行だの、家の片付けだの
なんだかんだと、まさに獅子奮迅の働きをしています。

私だったら、親はともかく
叔父夫婦のために、ここまでできるかなあ?
と、考えるにつけ、著者はえらいなあと思います。

いずこも同じ?

著者が悩まされることのひとつに
「家の片付け」があります。
自身の実家も、かなりモノをため込んでいたことが発覚するのですが
叔父夫婦の家は、その上を行く、まさにゴミ屋敷状態となっていました。

その中から貯金通帳だの、保険証だのを発掘したり
冷蔵庫の中を、ギョエーッ!!と、思いながら片付けたり
といった描写を読んでいくと
私の実家(母の家)の様子が脳裏に浮かび
ここまでではないかもしれないけど
きっと、あちこち開けてみたら
ギョエーッ!!ってなるんだろうなあ・・・と
暗澹たる気持ちになってきました。

姉とふたりで、うるさく言っていますので
それなりに、整理はしているようなのですが
そもそもの物量が、ハンパないというか
ありえないというか・・・。

ためこみまくったモノを減らしていくわけですから
ちょっとやそっとでは、減った感は、ほぼナシです。

もっともっと、母が生きているあいだに頑張らせなくては!
と、老母を鞭打つようなことを考えてしまいました。(鬼)

救われた点

大金持ちというわけではなさそうなんですが
両親、叔父夫婦そろって
自分たちにかかる費用をまかなう程度の貯金があるようで
そこが救いだなと、思いながら読みまいた。

もちろん、本の題名どおり
いずれ貯蓄も底を尽くときがくるでしょうから
気楽に構えていられる問題では、ないでしょうけど
介護の労苦に加え、金策にも苦慮するケースは多いはずです。

私たち世代の親は、年金をたくさんもらっていることが多いのですが
国民年金だけだった世帯や、その国民年金もかけていなかった
という世帯で親の介護をしようとするならば
子世代の人生が、かなりかき乱されることになります。

そういう話だと、とても笑っては読めなかったと思います。
著者にしてみたら、十分「笑い事じゃない!」だとは、思いますが。(笑)

加入しているAmazonのkindleunlimited対象作品だったので
何気なく読んでみましたが、とても楽しい読書となり、
著者のほかの作品も読んでみたくなりました。

忘れん坊将軍

昭和39年生まれの59歳、専業主婦です。 新幹線、首都高速、武道館などなど同い年のものがたくさんあります。 還暦目前のせいか、あれもこれも忘れてしまう困ったちゃんです。