疚(やま)しい

  • 意味:良心に恥じるところがあって気がひける。後ろ暗い。
  • 豆知識:「疾しい」も同じ読み、意味の熟語ですが「病気であるような気がする。気分が悪い」という意味も含みます。

疚しいことのない人間なんて、ひとりとしていないはずですよね。
でも、うちのお殿様(夫)は、自分の疚しさを自覚する能力が欠落しているようです。

柿の木

毎日の散歩を欠かさないお殿様ですが
秋になってから、帰ってくるたびに柿の木の話をします。

どこどこで見たとか、カラスが実をつついていたとか
どうでもいい他愛もない話かと思い、生返事で相手をしていましたが、

「今度、とってこようか?」と、言われたときはぎょっとしました。

お殿様は「獲る」つもりでも、それ「盗る」行為ですから!
絶対にやめて!!と、強く注意しましたが
私の話を華麗にスルーしまくるお殿様ですから
何度も同じことを言うんですよねえ。
だから、そのたびに「ダメだよっ!」と言うと
毎回、「だめなの?ガキのころは、そのへんの柿、とって食ってたぞ」
と、初めて聞いたような顔をして言い返してくるので
まったくもって、油断なりません。

子どもの時代のお殿様

お殿様は、小学校低学年まで、かなりの田舎で育ちました。
海が近くにあったそうで
「血だらけになりながら、ウニをとって食ってたんだぞ!」と
という話を何度も聞かされています。

なぜ血だらけになるのか?というと、
岩場でのことだったので、ケガがつきものだったそうです。
いやそれ、潜りが下手なだけなんじゃ?と思いますが
お殿様にとっては、武勇伝のようです。

それはともかく、そういう地域でしたし、昭和の話ですから
そのへんになっている柿をとって食べても、問題はなかったかもしれませんが
今現在、普通の住宅地で暮らしているわけですから
どこかの柿は、絶対に誰かのものです。

「家の庭とかじゃなくて、そのへんに生えてる柿の木だぜ」
と、お殿様は言いますが、その「そのへん」にも
間違いなく所有者、管理者がいるんですよっ!!

熟した実を持て余しているおうちもあるでしょうけれど
人のものを勝手にとって食べたら、大問題です。

仕方なく

そういうわけで、ここのところ毎日
お昼ご飯のあとのデザートに、柿をむいて出しています。
もちろん、お金を払って買ってきた柿です!!
柿が食べられれば、とろうなんて思わなくなるだろうと思ってのことでしたが、
「うまい、うまい」と予想以上に喜んで食べています。

柿が好きなんですね。
知りませんでした。
私が、ありえないメンドクサガリネーゼであり
超絶不器用なのも手伝って
皮をむかないと食べられない果物は、
積極的に遠ざけていたせいです。

食べればおいしいので、私だって好きですよ、果物。
お殿様のほうが器用なんだから、むいてくれたらいいのにな。

桃栗三年柿八年

それにしても、柿の木を見て「とっちゃおうかな」と思うとは、驚きでした。
6月に引っ越してきた現在住んでいる地域は、もともと私の地元です。
40年ほど前は、桃畑や栗林があったんですけど
いつの間にか、住宅地になっていました。

なくなってくれていて、よかったかも。
落ちている栗はともかく
桃の実をもいでもって帰ってこられたりしたら、気絶しちゃうよ。

とはいえ、私も子どものころ
家の裏の空き地に、ブロック塀を乗り越えて侵入し
クワの実をむさぼるように食べまくったことがありますけどね。

このとき、翌日おなかを壊してえらい目にあいました。
しかも、その「翌日」とは、自分の誕生日で
母が用意してくれたケーキもごちそうもお菓子も、
なーんにも食べられなかったという、オチつきです。

あの空き地だって、誰かの土地で
クワの木も、その人のものだったはずですよね。
昔は、のどかでしたよねえ。


忘れん坊将軍

昭和39年生まれの59歳、専業主婦です。 新幹線、首都高速、武道館などなど同い年のものがたくさんあります。 還暦目前のせいか、あれもこれも忘れてしまう困ったちゃんです。