お殿様(夫)唯一の趣味であるパチンコ。
私は嫌いです。
まず、場内の騒音がガマンできませんし
そもそもギャンブルは嫌いです。
さらに、収益がどこに流れているか、
ということを考えたら、とてもする気になれません。
しかしながら、夫が好きでお金をすりまくってるわけです。
そこについては、特に何も思いません。
男がお金を使わずにいられるはずはありません。
パチンコにつぎ込まなければ車だとかゴルフだとか、なんだとかかんだとか
別のつぎ込み先を見つけるに決まってます。
というわけで、家計を破綻させず遊んでいるお殿様のパチンコについて
とやかく言う気がないので、この記事もそういう記事ではありません。
小説「パチンコ」についての備忘録です。
韓国系アメリカ人作家ミン・ジン・リーによる小説で
アメリカではベストセラーになったそうですが
日本ではあまり知名度が高くないように思います。
おそらくタイトルが悪いですよね。
読みたくなる人が、かなり少なそうなタイトルではないでしょうか。
日本に併合された朝鮮半島、釜山沖の影島。下宿屋を営む夫婦の娘として生まれたキム・ソンジャが出会ったのは、日本との貿易を生業とするハンスという男だった。見知らぬ都会の匂いのするハンスと恋に落ち、やがて身ごもったソンジャは、ハンスには日本に妻子がいいることを知らされる。許されぬ妊娠を恥じ、苦悩するソンジャに手を差し伸べたのは若き牧師イサク。彼はソンジャの子を自分の子として育てると誓い、ソンジャとともに兄が住む大阪の鶴橋に渡ることになった……
というような話です。
在日コリアンの4世代にわたる物語は、読み応えがありました。
感想の詳細は、この国における「在日問題」がややこしいので避けますが
登場人物のひとりが、在日コリアンから見た日本を
「なついても愛してくれないまま母」と形容していたのが印象に残りました。
移民の国アメリカでベストセラーになったのは
大衆の共感を呼ぶ物語だからこそなのでしょうね。
日本は移民問題に揺れている側の国ですが
個人的には、反日活動をせず法を守り税を納める在日外国人については
当たりまえですが、何も感じません。
おそらく、知り合いになれば普通におつきあいができるでしょう。
しかし、そうでない外国人に対しては、これまた当たり前ですが
冷ややかな目を向けてしまいますし、かかわりたくないと感じます。
同様のことが、物語の中で描かれていたので、何ら抵抗なく読めました。
良い日本人もいれば悪い日本人もいる。
同様に良い在日コリアンもいれば悪い在日コリアンもいる。
というような内容です。
非情に明快で、単純なことですが
ここを置き去りにしては、何も語れない問題だ、と常々思っていますので
私の性に合う小説でした。
ストーリーがとてもおもしろいので
性に合わない小説だったら、残念でしたが
そうでなかったので、楽しい読書となりました。
パチンコはグレーゾーンな商売である
というほのめかしはありましたが、あえて避けたんでしょうね
収益の流れる先については言及がありませんでした。
これまた、すべての店の収益が同じ流れ方ではありませんから
仕方ないのかもしれませんが、そこは、かなり残念でした。